1)急性肝炎
慢性化することはありません。他に風邪のような症状をおこすウイルス(EBウイルスなど)が原因になることもあります。
職場検診などで発見される肝機能障害のなかで最も頻度が高い肝臓病です。
脂肪肝とは肝細胞内に中性脂肪を主とした脂肪が貯留した状態をいいます。
肥満、過度の飲酒、糖尿病などが原因になって発症します。脂肪肝はほとんどが無症状で、急速に進行することはまれであり、ただちに生命にかかわる病気ではないことから、医療関係者からも軽視されがちな病気でした。
しかし、最近になって、一般的な脂肪肝と区別のつきにくい「非アルコール性脂肪性肝炎、nonalcoholic steatohepatitis,略してNASH」という病気が明らかになってきました。
そして脂肪肝だからといって決して軽く見て放っておいてはいけないことがわかってきました。
健康診断で肝機能異常を指摘された方から相談を受けたとき、その方がお酒が好きで、太っていた場合、「ああ、きっと脂肪肝だから心配ないよ」みたいなアドバイスをされる人が、医療従事者の中にさえおられるのが現状です。
脂肪肝かどうかは専門家が腹部エコー検査をすれば診断できます。 次に問題になるのが「脂肪肝だけ」なのかということです。「脂肪肝だけ」と思っていたら実は肝炎ウイルスにも感染していたということもありえます。そこでB型肝炎やC型肝炎のウイルスに感染していないかということを血液検査で調べる必要があります。
脂肪肝は肥満やアルコールの採り過ぎで発症する生活習慣病の一種ですから、生活習慣の改善が基本になります。
ダイエットして体重を少しでも標準体重に近づけること、アルコールを飲まれる方では肝機能障害の程度にもよりますが、節酒、禁酒が必要になります。運動療法も脂肪肝の改善に有効です。
脂肪肝の方では同時に高脂血症や糖尿病にかかっておられる場合がおおいです。このような場合は高脂血症や糖尿病を積極的に治療することが脂肪肝の治療につながります。脂肪肝は本来自覚症状のない病気ですのでダイエットなどの努力をしていただいても、どの位肝機能がよくなったかは自覚症状的にはわかりません。
そこで定期的に血液検査で肝機能や血液中の脂肪の量を調べ、生活習慣の改善につなげていくことが重要です。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
アルコールをそれほど飲まないのに肝臓の炎症が強く、脂肪肝から肝硬変へと進行していく肝臓病に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)があります。この肝臓病が従来考えられていたよりも以外に頻度が高いことが最近学会で報告されています。
治療は普通の脂肪肝と同じですが進行性が強い分、より速やかに生活習慣を改善することが必要です。
この病気で肝硬変にならないためにも脂肪肝をあなどらず、きっちりと検査を受け、治療を継続することが必要です。
肝臓に異常がなくても肝臓と関連した周囲の内臓の異常でも肝機能に異常がでることがよくあります。
胆嚢炎、胆管炎、などを発症すると肝機能に異常がみられます。腹部エコー検査で診断されます。