生活習慣病とは
生活習慣病に共通する点は通常初期の段階では自覚症状がほとんどなく、症状がない期間が永く続いて、その間に動脈硬化がじわじわと進行し、動脈硬化によって重大な病気が発症して初めて自覚症状が出現するという点です。
脳の血管の動脈硬化では脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血などが、心臓の血管の動脈硬化では狭心症、心筋梗塞などがおこります。
これらの病気は一度おきてしまうと後遺症はもちろん、後遺症がなくて回復しても日常生活上たいへん不便な制約が生じるのが普通です。ですから自覚症状のない段階で生活習慣病を治療しておくことがとても重要になってきます。
逆に言えば、生活習慣病が発見された時は、根気よく治療すれば、これらの重大な病気にかかるリスクを大きく減らすことができるチャンスと言えるでしょう。
高血圧
1)高血圧とは
高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会)では血圧の程度を下の表の様に分類しています。
分類 | 収縮期血圧 | | 拡張期血圧 |
至適血圧 | <120 | かつ | <80 |
正常血圧 | <130 | かつ | <85 |
正常高値血圧 | 130〜139 | または | 85〜89 |
軽症高血圧 | 140〜159 | または | 90〜99 |
中等度高血圧 | 160〜179 | または | 100〜109 |
重症高血圧 | 180以上 | または | 110以上 |
収縮期高血圧 | 140以上 | かつ | <90 |
糖尿病
糖尿病の症状は、大きく2つにわけられます。
一つは、血糖値が高いことからくる症状です。つまり、糖尿病そのものの症状です。
もう一つは、血糖値が高いままに放置されたことによって、様々に臓器の働きが低下してしまうことにより生じるもので、いわゆる「合併症」といわれるものです。
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<糖尿病そのものの症状>
- のどが乾き、水分を多く取り、尿の回数や量が増える。
- 体がだるく、疲れやすい
- 食欲が異常に強くなる
- 食欲はあるが痩せてくる
- 血液の流れが悪くなる
- むくみが出てくる
- おできができたり、皮膚が化膿しやすくなる。
- 性欲が低下する
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<合併症による症状>
- 物が見えにくくなる
- 手足のしびれや痛みがある
- 足などがつるようになる
- 歩きにくくなる
- 立ちくらみがある
- しつこい便秘や下痢
なぜ「血糖値」が高いと合併症をひきおこすのか?
「糖」つまりグルコースは、血液中である濃度以上の状態が続くと、体を作るタンパク質のN末端と化学結合して、別の分子に変化させてしまいます。
つまりタンパク質で構成されている、血管や、水晶体(眼球)などの物質を別の物質に変え、本来の機能を果たせなくしてしまう恐れがあるということです。